水河周辺学

降雪積雪量が融解量を毎年上回る所で残雪が氷化し移動すると氷河が生じますが、その気候的条件の限界付近では完全な氷河が出来ず、さらに氷河地域から離れるにしたがい次第に温暖な地域に移っていきます。その限界付近の気候的特徹は、寒冷ではありますが残雪の量が少なく、年間を通じて地表が雪に覆われ続けることがなく、融雪水の凍結や霜の作用で地表の岩石や土壌は砕かれたり、移動したりして、山地の斜面や平坦面の形成に特殊な機構を働かせると考えられます。地形学の浸食から営力別にみれば、氷食と河食のいずれでもない霜食作用を中心とする特殊な営力であって、そのような作用を受ける所を氷河周辺地域と言い、その場所における地形営力の機構を究明する分野を氷河周辺学と言います。これは、氷河地域の周辺部にみられるばかりでなく、かつて氷河地域であった所が気候の暖化によって氷河周辺地の性格に移った所もあるわけで、現在の日本のように氷河が現存しない所でも、2000mから3000m級の高山地帯で氷河周辺現象が見られ、得にこの種の研究として乗鞍岳、霧ケ峰などの構造土や、北海道における斜面上の凍結土砂の実験例があります。

地理地形

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