風土と風土順化
風土は人間生活の基盤となる自然環境であって、気候・水・地形・土壌・植生・地下資源及び位置等に分析することができますが、これらの個々ではなく、各要素が総合して示す風土性が間題となってきます。風土の概念は古代の中国やギリシアに始まりました。後者では民族の性格が風士性を持っていることが指摘され、近世に入り、ヘルダーが風士の哲学的考察を進め、風土論となりました。風土順化又は気候順化は現代地理学や医学の中で扱われ、移民が移住先の自然環境にいかによく適応するか、その生理的能力や社会的適応性、訓練の効果などにつき科学的な考察が行なわれました。ヒマラヤ登出における高度順化もその一つの場合になります。風土病の感染も人間と動物、植物および土壌、気温など外界の条件からなる一種の生態系として説明され、その撲滅には、風土の特質や住民の生活様式など幅広い考慮が必要となります。

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