泥流
集中豪雨の際に山腹や谷壁を下流する大量の水は、地表の土壌はもちろん、かなり厚い風化層まで剥ぎ取り、谷すじをへて山麓に達します。このような流下物は巨礫、泥土、樹木なぜを含み、泥流と言われます。植生の乏しい乾燥地域の雨季にその典型が見られます。谷を数キロ岩も流し、堆積物で埋めつくす場合もあります。日本でも急峻な地形と集中豪雨の頻発する気象の条件下で、しばしば類似の現象が発生し、耕地や民家に災害をもたらします。動きが緩慢で地質に原因のある地すべりや、急速な崩壊による山くずれのいずれとも違い、谷すじにそって長い距離を流下するという点で特徴があります。なお火山活動に起困する同様の地形があり、爆裂性噴火の際に、火山麓に岩塊が押し流されるものを、火山泥流と言います。明治22年の磐梯出爆発で北麓へ約8キロ流れ、川をせき止めて秋元湖と槍原潮を造った泥流はその好例です。

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